利用者からの投稿
[認知症]
今年84歳になる母親が、「認知症」になった。
今更だが、もっと早く病院、しかるべき所に相談しに行けば、認知症の進行を少しでも遅れさせられたのかなと、少し後悔している。
とは言え、以前から、その傾向があったかと言うと微妙で、去年友人に会いに、数年ぶりに京都まで一人で行ったり、都内、有楽町、東京駅など友人と待ち合わせも、家族の心配はよそに、難なく?こなしていた様に見えた。
20数年、都内某図書館でやっていた「点訳ボランティア」の仕事、自分が、まさか「BLINDになるとは夢にも思わなかったが、母親が点字の校正「点訳」をしていたので「点字」の存在は良く知っていた。その仕事も引退し、これまた20数年やっていた「ホームヘルパー」の仕事。80歳過ぎても「依頼があれば続けたい。」と言っていた、ある意味「生きがい」に感じていた仕事だったが、3年前に、自宅でコードに引っかかり転倒。外傷は少々あったものの、一週間程、検査入院して無事退院したが、自宅で転倒する人なんて雇いたくない気持ちも分かるが、仕事を辞めなくてはいけなくなった。要するに「くび」。自分の不注意とは言え悔しがっていたのを良く覚えている。それを機に、大好きだったオートバイ(原付ね)を乗るのも止めた。「還暦」過ぎて免許を取り、家族の心配はよそに、どこでも「最低速度」で、出かけていたが、乗るのを止めた、一挙に、色々自信が無くなって来た様だった。この頃から、「異変」が始まっていたのかもしれないと、今は思っている。
今年になって、割と使えていた「スマホ」が使えなくなり、買い物に行って、(迷子?)帰って来るのに時間がかかったり、洗濯機の使い方を「忘れた」とか言い出す事もあったが、良くある「物忘れ」だと思い、いや、そう思いたかったのが正直な気持ちだった。
4月に入ってからは、単なる「物忘れ」ではすまない事に。
「ホームヘルパー」の仕事をしていた事を思い出すのか?洗濯、洗い物等など台所仕事が終わると、「終わりましたので、帰ります。」と言い出し身支度をして出て行こうとする。自分の事は「息子」として認識している様だが、父親の事は「利用者」と「夫」と、いったり来たりしているみたいだった。
区役所に相談しに行き、「地域ケアプラザ」を紹介され、そこで指定された病院に行き、検査をして「担当医」を決めなくてはいけないとの事。病院に中々行ってくれず、一度は当日キャンセル、二度目で何とか行ってくれたが、その間、朝方、家を出て行ってしまい、二度ほど、警察に捜索をお願いする事もあった。
その頃から現在、もう母親を家に一人で置いて置く事は出来なくなった。母親が外に出てしまったり、散歩がしたくなっても、「BLIND」の自分は、一緒に歩いて上げる事すら出来ない、何も出来ないんだと痛感した。
指定病院の「担当医」が決まり、区役所に書類が提出でき、そこから約2週間程で、区役所の「ケースワーカー」が自宅に来て、母親の面接、認知度の検査をしに来た。名前、生年月日、住所、今日の日付等、映画だったか見た事があるが、ケースワーカーが色々、質問していき、体の動きも見ていった。その様子を横で見ていた、いや、聴いていたが、ここまで進んでいるのかと改めて思い、愕然とした。母親の「異変」に気が付いた友人達が、随分、訪ねて来てくれたが、その中でも「中学生」の頃からの「親友」との会話が、何とも。「最近、何だか急に、頭がおかしくなるのよね。」何とか母親は正気?を保とうとしながら、久しぶりの友人との会話を、楽しんでいる様だった。友人も「私も、そうよ!もう、お互い年なんだからね。」と言い、涙をこらえながら、抱きしめての会話を聞いていたら、思わず自分も涙が止まらなくなってしまった。
そこから一か月後に、区役所から「介護度」が決まり、「介護保険」を使ったサービスが使える様になった。書類が届き「地域ケアプラザ」に相談、こちらの要望を伝え「ケアマネージャー」と契約した。希望の「DAYサービス」をいくつかピックアップしてもらい、その中から、良いんじゃないか?と思う所に、「BLIND」の自分も一緒に見学に行き、現在、週に何日か「DAYサービス」にお世話になり始めた。何とか気分よく?行ってくれている様だと思う。
この間、約3か月か、「介護」をしている友人、その他いろいろな人に聞いてはいたが、こんなに大変だとは。自分の時間が、ここまで制限されてしまうとは思わなかった。とりあえず、今は一息ついたところ。新たに考えなくてはいけない事も出てきそうだ。
当面の悩み?は、母親が時折、自分に「あなた、目が悪いの?」と聞いてくること。息子が「視覚障碍者」になった事を忘れている様だ。何となく「目が見えなくなった。」と、改めて母親には言いにくい。何て答えれば良いのだろうか?
GENERATION X「KISS ME DEADLY」を聴きながら/JUN BLIND